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2019.03.16

『Study』活動レポート ≪デビュー曲「ready STUDY go!」MV撮影≫

 2月某日、都内某所。この日はTVアニメ『ぼくたちは勉強ができない』のヒロインを演じる3人による音楽ユニット・Studyのデビュー曲「ready STUDY go!」のミュージック・ビデオの撮影が行われた。撮影前日は東京に大規模な雪が降ったこともあって撮影自体が危ぶまれていたのだが、当日は見事な快晴。廃校を利用したロケ地にはまだ一部雪が残ってはいたものの、撮影は通常通りの進行となった。今回はその模様をレポートしていこう。

 8:20 A.M.
 Studyのメンバーである白石晴香(古橋文乃役)、富田美憂(緒方理珠役)、鈴代紗弓(武元うるか役)は、メイクを終えたところでMV監督を務める金沢康行監督(Demon Pictures co.,ltd.)と打ち合わせ。ここで監督より今回のMVの全体的なテーマ、また撮影に関しての行程などが細かく、より具体的に説明された。監督から明示されたMVのストーリーは、ひとつの学校のなかで撮影されたそれぞれのソロ・パートのあと、最終的に3人が集合していくというもの。デビュー曲のMVとしては珍しくカメラに目線を極力合わせず、リップシンクも歌詞を噛み締めながら自然と口に出るようなレベルがほとんどで、動きもアドリブが主体になっていくというもの。いわば3人のナチュラルな魅力を前面に出した、オシャレな画作りが本作のテーマとなっている。そんな監督からの説明を真剣な表情で聞く3人。Studyとしての活動は始まったばかりで、そもそも3人でのMV収録は初めてというなかで控室は独特な緊張感に包まれていた。

 8:40 A.M.
 打ち合わせのあと、さっそくMVの撮影がスタート。最初は鈴代のソロ・パートから。学校の渡り廊下を使ってのシーンで、制服姿の鈴代が渡り廊下の窓脇で腰をかけたり、パックのミルクティーを飲みながら残りのふたりを待っているような描写でカメラが追っていく。この間、「ready STUDY go!」の楽曲が流れてはいるが、口は何かを呟いているぐらいの動きで、視線もカメラに合わせることなく自然な感じがよく出ていた。
 最初の2コーラスを流したところでカット。監督から「かわいすぎる!」という賛辞がありつつ、撮った映像を確認しながら動きに関してより細かい指示が入っていく。ロケ地は廃校だけに全室に暖房が完備されているわけではなく、とにかく寒い。鈴代もカット毎に、用意されたストーブに当たって、手にカイロを握りしめながら、しかし笑顔を絶やさず撮影を進めていく。
 撮影は同じような動きのなかで目線を入れる/入れない、口を動かす/動かさない、また曲の終盤にかけて表情が明るく変わっていく……などさまざまなパターンをカメラのレンズや構図を変えながら何度も繰り返し撮っていく。以降のソロ・パートでも見られるこの繰り返し作業というのが収録のメインとなるもので、とにかく時間がかかるのだ。しかもこの日はスタジオ収録ではなく野外も含めた外ロケで、日没になってしまうとそれぞれ撮った映像との齟齬が発生してしまう……ということで、撮影スタッフもしきりに「時間との戦い」と口にしながら、しかし妥協はなくそれぞれのカットを慎重に撮っていった。曲終盤で使うカットでは鈴代が満面の笑みをカメラに見せて、通常より早い進行で自身のソロ・パートを終えた。



 10:10 A.M.
 続いては富田のソロ・パート撮影のため屋上へ移動。まずは屋上入口の脇でたたずむ姿をカメラに収めていたのだが、そこからより抜けのいい場所に移動して撮影を続行。金網にもたれかかったりするなどのシーンを撮っていく。空は雲ひとつない快晴だが、やはり野外ということもあって室内以上に寒い。スタッフは上着を着て撮影に臨めるのだけど、富田はブレザーの衣装だけ。しかもそんなときに限って屋上は強風が吹きすさぶという過酷なシチュエーションだ。そんななかでも富田は明るく、むしろ空に向かって「止まれ~、風!」と叫んだり、終始現場を和ませていた。撮影場所が広い屋上ということもあって、ここでは富田とカメラの動きがちゃんとシンクロしなくてはならないというところがポイント。風の動きも読みながら、動きの導線や見せる表情のひとつひとつを監督と確認していく。中盤には富田も手応えを掴んでいった様子で映像チェックでも満足そうな表情を浮かべていた。
 撮影も終盤に入り、正午に向かって陽が高くなっていく頃、すでにソロ撮影を終えた鈴代が屋上にやって来てスタッフとともに富田の映像を眺めて「いい! かわいい!」と大絶賛。撮影の合間もメンバー同士で楽しそうにコミュニケーションを取っていたのがまた印象的だった。最後までテーマのひとつである“自然な笑顔”のまま、富田ソロのパートはアップとなった。



 11:30 A.M.
 ソロ・パート最後は白石による教室での撮影。机が並ぶ教室の一角で椅子に座ってのシークエンスが中心となるため、ほかのソロ・パートよりも動きが少ない。ゆえに撮影序盤はよりいろいろな表情で見せていくという演技が要求されていく。しかし最初のカットで監督から「素晴らしい!」と絶賛されたように、序盤からいい感触で進行していった。机に頬杖をついていたところから立ち上がり、窓際に移動していくなど動きも徐々に増えてきて、ここから表情に笑みがこぼれていくなど、窓から漏れる自然光とも相まってどのカットでもナチュラルな魅力を見せていった。
 終盤は楽曲でいうところのDメロ~最後のサビをメインに撮影。ここだけは「目覚めなさい STUDY now!」のタイミングで椅子から勢いよく立ち上がって、カメラに向かって目線を合わせてリップシンクするというシーン。机の合間を器用に縫うように、しっかりと動きを見せてハツラツとした表情を見せて、彼女のソロは終了。監督以下スタッフが感嘆の声を上げるほどスムーズに、巻きの進行でのソロ・パートのアップとなった。
 そのまま教室で3人が合流してのイメージ・カットを撮影していく。最初は曲を流しながらも、白石が使っていた机をほかふたりが囲むようにして談笑しているというイメージ。すると、3人がノートに何か書き始めては笑っている。どうやらノートにイラストを描いて、それでしりとりをしているらしい。特に細かいディレクションのないイメージ・カット撮影だけに、3人の仲の良さがよくわかるヒトコマだった。



 14:00 P.M.
「ready STUDY go!」MV撮影もいよいよ終盤。ここからは下駄箱~外廊下~廊下と学校内を転々としながら細かいカットを撮っていく。完成したMVではただ各場所を通り過ぎていくだけのようにも見えるが、ここも入り方や立ち去り方など、撮っては映像で確認して、を繰り返していく。MVを観ると使用されたのはほんの一瞬だが、その一瞬のためにスタッフもメンバーも妥協することなく撮影を続けていく。特にMVの最後のサビで観られる、廊下で白石を富田&鈴代が迎えるというシーンは、長い廊下を白石が歩いて、ほかふたりが上階から階段を駆け降りて迎え入れる形で撮影し、ワンカットながらじっくり時間をかけて撮影していた。



 そして15:45 P.M.、場所を校庭に移して、3人が下校していく姿を屋上からとらえ、この日の撮影はオール・アップとなった。懸念されていた天候、そして日没までの時間にもまったく問題なく、Studyの華々しいスタートを切るための大事なMV撮影は大成功に終わったと言っていいだろう。
 完成したMVを観ると、淡い透明感のある画づくりのなかで3人の自然な表情が存分に見られる仕上がりになっているとわかる。最初に監督がテーマとして挙げていた“3人のナチュラルな魅力”というものが全編にわたってフィーチャーされている、デビュー作にふさわしいMVといえるだろう。
 また、学校というロケ地で衣装も制服ということもあってか、まるで同級生の親友であるかのような3人の仲睦まじい姿も印象に残るはずだ。結成したばかりの3人の仲の良さ、これもまた今後続いていくユニット活動で大きな魅力になっていくだろう。



 最後に、撮影を終えたStudyの3人にこの日の撮影の感想、そして今後への意気込みを伺った。

鈴代紗弓(武元うるか役)
「全体を通して、楽しかったです! スタッフさんやStudyのみんなと和気あいあいと撮影させていただきました。どんなシーンになっているか早くみなさんに観ていただきたいという気持ちでいっぱいです。Study(勉強)というユニット名なので、たくさん勉強するのかな?とも思っているんですけど(笑)、『ぼくたちは勉強ができない』という作品をより多くの方に楽しんでいただけるように、Studyとしても盛り上げていきたいです。
 また私はこういったMV撮影はもちろん、歌やダンス、またライブというのも初めてで、これからもそんな"初めて"がたくさんあるかと思います。そこで自分自身としても成長していけるように、そして私たちの活動を通して少しでもみなさんが笑顔になってくれるように頑張っていきたいなと思っていますので、よろしくお願いします!」

富田美憂(緒方理珠役)
「私もこういったMVを撮らせていただくことが初めてなんです。朝早くからの撮影ということもあって緊張していたんですけど、本当に普段のアフレコと同じように楽しみながら撮影させていただきました。私、ソロ・パートが屋上だったんですけど、私が高校生のときは屋上に行くことがほとんどなかったので、そういう体験を今回させていただいたのがうれしかったです。
 私たちStudyの活動を通して、アニメの本編をはじめ楽曲やイベント等、たくさんのことをみなさんに楽しんでいただけるような、そんな活動をしていきたいと思っています。こうやって制服も着させていただいているんですけど、実際に制服を着ている学生の方はもちろん、そうじゃない方も含めた、みなさんの背中を歌やダンスで押していけるような、みなさんを勇気づけられるユニットにできたらいいなと思います。これからも頑張りますのでよろしくお願いします!」

白石晴香
「個人的には、久しぶりのMV撮影だったので、ちゃんとできるか、どんな感じに進むんだろうか、という不安があったのですが、スタッフさんたちのおかげで、私らしく楽しく撮影に臨むことができました。みんなとも普段の感じでじゃれ合いながらノートにお絵描きしたりできたのも楽しかったので、そんな素の姿をみなさんに観ていただけたらなと思います。
 今後Studyとして活動させていただくなかで、素敵な制服とともにみなさんの前で歌って踊る機会もたくさんあるかと思います。現在学生の方はもちろん大人の方にも、“青春って素敵だな”と改めて思っていただけるように活動を頑張ります。これから応援よろしくお願いします!」


(文・澄川龍一)

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